国境(くにざかい)

自分も含めて、今の日本人は
国境が陸続きであることが何を意味しているか
本質的に理解できていないと思う。

ずっとそうだったわけではないだろう。

古くは多くの国が日本にはあったので、
他国と国境(くにざかい)を接する実感はあったんだろう。

明治以後、一つの国という体を取った後、
国境は海になった。

しかし、明治以前の記憶のある人たちは、
国境というものを今とは違った意味合いで捉えていたことは
想像に難くない。

それは戦前の日本の外交を紐解けばよくわかる。

難しくいえば、安全保障、
平たくいうと、隣との関係をどうするか
ということ。

想像力を働かせるしかないんだが、
言葉も文化も違う人が、
国境を徒歩で進入できて、
その人たちが、友好的である保証はない
という状況が日常的であったとする。

そのような国境が、
自分の居住地から数キロ圏内であったとしたら。

遮る山も河も森もない、平原だけが間にあったとしたら。
世界中に現在もそのような場所は沢山ある。
むしろ国境が陸続きがスタンダードだ。

自分の国の周りがすべて他国で
陸続き、徒歩で進入可能だったら・・・。

自分を、家族を、友人を、国を守るために
考えなければならないことは何か?

国のあり方はどのようにあるべきなのか?

そんな話をする日常が、日本にあっても良いと思うのだ。
そのために
歴史学地政学政治学、経済学、
芸術、音楽、地理、文学、哲学
が存在しなければならないし、
自国の歴史を世界史とのつながりで
語られなければならないと思うのだ。

少しでもそのことに思いを馳せられないものだろうか?