10年前のその日のこと

東日本大震災で、思い知ったことの一つは、
過去の伝承の重要性だ。
いくつか読んだ記事の中で、
忘れ去られた碑に、津波の伝承が書かれていたり、
神社や仏閣の位置が、
かつて津波が来た位置だったりと言うのを
よく目にした。

一番驚いたのは貞観地震のこと。
東日本大震災があって初めて知った。
他にも、同じ場所で違う時代に起こった
津波を伴う地震を記録した古文書があった。
それを忘れ去ってしまっていたことに
ショックを受けた。

そして実は近年に、
地震津波が一緒に起こった出来事があった。
1993年に起こった北海道南西沖地震だ。
奥尻島津波の被害に遭った。
でも覚えている人は少ないと思う。
当時はYouTubeがなかった、SNSがなかった。

私たちが目にしたのは、津波が去った後の景色。
だから津波で何が起こるのか知らなかった。
東日本大震災で衝撃だったのは、
たくさんの人たちが撮影し、
アップした地震津波の動画たちだった。

それは日本だけでなく世界中の人が目にした。
今でも見れる。
これほどの教訓は人類の歴史を振り返っても無い。
インターネットが存在する限りこの教訓は残るから、
今後、南海地震が起こる可能性が指摘されているけれど、
東日本大震災のことは活かされると思う。

10年前のその日、
大阪では揺れが感じられた様だけれど、
神戸ではほとんど気がつかなかった。
2時間休みをとっていたので、
早めに職場を出た時、
区の広報のスピーカーから
海岸に近寄らないでくださいと言っていたのを、
訓練って言ってたっけと思うほど
気がついていなかった。

気が付いたのは、電車に乗ってから。
ある男性が音漏れを気にすることなく、
ワンセグ放送を見ていた。
そこからは何かただならぬことが
起こった感じが伝わった。
慌てて僕もiPhoneワンセグアダプターをつけ、
見始めた。

そこに映っていたのは見慣れない大津波警報
という文字と仙台に迫る大津波の映像。

そのリアルタイムの映像は今でも忘れられない。
映画でしか観たことのない光景が
現実に起こっている。
それと付き合っていかなければならない国土に
自分たちは住んでいる。
その翌日に書いた日記。https://www.collegium.or.jp/~gabe/main/201103.html#20110312