モンテヴェルディ合唱団定期演奏会

団員から聞いてはいたけれど会場は文字通りの超満員。何回も、京都文化博物館へ演奏を聴きに来たけれどこんな状態は初めて見た。最初のステージはモンテヴェルディとシュッツのマドリガル。旋律の重なり合い、受け渡しが目に見えるようだった。和音の変化も心地よく二人の作曲家の違いもきわだっていた。その後、タリスのエレミア哀歌。調性によりいろんなバージョンが存在するが今回のはSATTBとテノールが2声に分かれるバージョン。歌い始めに固さが見られたけれど最後に向かって熱を帯びていく好演だった。テノールに一部、危ういところがあったがライブで、エレミア哀歌をこのような演奏で聞ける機会は滅多にないだろう。休憩の後、邦人曲の演奏が始まった。鈴木憲夫作曲の永訣の朝。これまで様々な団体が演奏するのを聞いたけれどもっとも印象に残る演奏の一つになった。歌詞の明瞭さは言うまでもなくピアノとのバランステンポ、音楽の運びと作曲家自身がこの会場にいないことが悔やまれる演奏だった。最後のステージは千原英喜作曲、良寛相聞。先日、名古屋大学医学部混声合唱団の定期演奏会で委嘱初演された曲。本日は改訂初演とのこと。奏でられる旋律はシンプルだけれども声部の重なりで、思いがけない和音が現れることがしばしばあった。しかし、それは決して奇をてらったものではなく日本人として心の奥底で共鳴するような和音が多く登場するように思う。旋律がシンプルであるからこそ逆に、正確なピッチときめ細かな音楽の運びが要求される。内声のアルトの高音部に若干、安定に欠ける部分はあったものの合唱団の演奏は、これらの課題に十分答えるものだったと思う。数少ない演奏を聴けるチャンスにこのような演奏会があったことはとても幸せだった。音楽の本質はやっぱりライブだと思う。