いつもと違う道

発表資料の訂正と追加実験のため
職場へ向かうべく、家を出た。

少し 肌寒さを感じながら
自転車に乗って、信号待ちをしていた。
道路の向こう側には、
自転車を降りて信号待ちをしている
おじいさんが一人。

信号が変わって渡り始めたところ、
そのおじいさんは、渡ることなく、
じっとしていた。
どうしたんだろうと
おじいさんの方を見ると、
少し白くなりかけた瞳と
目が合った。

爺ちゃん「じ、十三大橋、知ってまっか?」
僕「!は、はい、新十三大橋ではなく、十三大橋のほうですよね?どちらまでいかれます?」
爺「十三まで。道に迷いましてん。」
僕「ほな、わかるとこまで行きますわ。まずは、横断歩道渡りましょ。」
爺「すんません。」
爺「私95になりますねん。」
僕「そうですか、お元気ですねえ」
などと会話しつつ、
で、十三大橋への道が見える所まで案内し、
僕「この道しばらく、まぁ〜すぐ行ったら、左に曲がれます。
それが、十三大橋です。」
と説明し、わかれましたが
イヤな予感がして振り返ると、
おじいさん、すぐに左に曲がり
「新」十三大橋のしかも、
自動車道へ向かっているではありませんか!

慌てて引き返し、追いかけ
おじいさんに声をかけ
十三大橋への分かれ道まで
ご一緒することに。

短い道中、
お住まいは十三で
昔この辺りにあった武田の薬品工場で働いていたこと
ちょっと福島まで自転車で行ったまでは良かったが
道に迷ってしまった事など
話しました。

おじいさんと別れて梅田に向かいました。
それはこういう事がなければ
通らなかったであろう道。
いつもと違う景色を楽しみながら
大阪駅へ向かった。