過去に再会する

この冬の休みは
ほとんど家にいて
片付けるか、映画見に行くかだった。

年末に「ノルウェイの森」を見て
その後、原作を読了して以来
妙に高校時代から大学へ入った頃の記憶が
よみがえってくることが、しばしばだった。

原作者が母校の出身というのと
映画の中で、明らかに母校と思われる
風景があったり
原作の高校時代の描写に
ひょっとしたらここかも
というのがあったせいかもしれない。

高校時代は
半年間だけラグビー部にいて
その後、合唱部に所属し
勉強そっちのけで
歌ってばかりいた。

活動の軸は、NHKと朝日のコンクールで
その当時は結構強い(?)部だった。

なので、朝日のコンクールは
1年の時は長野で、銅賞
2年の時は松山で、銀賞
3年の時は東京で、金賞(文部大臣奨励賞で全国1位)
NHKも全国行きを果たし銅賞だったか?
兵庫県や、いろんなところから表彰も受けたり
と、まるで下手な脚本家が書いたような
3年間だった。

人との関係や、
体験したことなど
高校時代はほぼ合唱部と重なっていた。
10代後半の若造が
勘違いするのに十分な環境が整っていた。

一浪後、大学へ入ると
クラブでは
高校時代のことは、
全く通用もせず、
関心も持たれず
むしろ、何それ?的な扱いだった。
(合唱連盟嫌いの人も多かった)
一部では、嘲笑のネタにもされたのもあり
(まぁ、これは今でも時々ある)
意識して、語らないようになり
いつしか記憶の棚の奥へ
しまい込むようになった。

このことで、
次に進むきっかけにはなった。
が、同時に、
高校時代のことも
ほとんど、
いやまったく
思い出すことが
無くなっていった。
そして、むしろ否定すべき過去
と考えるようになってもいた。

それが、ノルウェイの森が引き金になって
その後、部屋の片付けをする中で
昔の写真や、資料が出てくることも
相まって
高校時代から大学入った頃の記憶が
思いがけず、よみがえってきたのだ。

歌のことばかりでなく
その周辺であったこと
人との関係など
封印する必要もなかったなぁ
と思えることが
よみがえってきた。

コンクールの是非と
あの当時がんばっていた自分を
結びつける必要は無いのだ。
人に少しは自慢しても良いことを
やったと思う。

いろんな事で悩みながらも
自分は一所懸命に、
手を抜くことなくがんばったのだ。

それを見もしなかった人間に
どうこう言われる筋合いは無いのだ。

あのときのことを
もう少し誇りに思っても良いと
思った。

あのころの自分を
自分でバカにする必要は無いと。
あの時、合唱を選んでいなければ
僕は今、こうして歌ってはいない。
元々は合唱が嫌いだったわけだから。

こんな風に、過去と再会した
年末年始だった。