演奏旅行日記26 ヴェネツィアの夜は更けて

チャーターした船が
船着場に着いた。

船を岸に引き寄せ、
さあ、どこから渡るんだ?
と見ていた。

船員のお兄さん、
当然のように、
しかし、若干ためらって
すぐ近くの足場に
渡し板をかけた。

え、ここを降りるの?

そう、「渡る」のではなく
「降りる」という表現が
しっくりくる程に
渡し板は、足場に向かって
見事に下っていた。
船 ̄岸 ではなく、
船\岸 な感じである。

多少まずいと思ったのか、
船員のお兄さん、
岸にて、みんなが降りるのをサポート。

幸い、ここで取り上げるような
不幸なハプニングが起こる事なく
全員無事に下船完了。

みんなから拍手と
船の見送りが盛り上がったのは
言うまでもない。

気が付けば、
ヴェネツィア
美しく夕暮れていた。

ホテルへの帰りに、
露店で、リンゴを一つ購入。
1ユーロ。

マントヴァのホテルは朝食に
果物が用意されていたが
ヴェネツィアのホテルはなく、
ちょうど、果物が欲しかったのだ。

さて、ここからは
居残り組が
夜のレセプションまで、
少し大変になる。

明後日、ドイツのワイマールへ向かうのだけれど、
そのメンバーの大きな荷物を
車で運んでくれると
ライナーが申し出てくれたのだ。

早速荷物をまとめて、
ライナーの車まで持って行く事に。

が、ここはヴェネツィアである。
街中に車は乗り込めない。
そもそも、駐車場ってどこ?

ありました、
我々がヴェネツィアに降り立った
バスターミナルのすぐ側のビルが
駐車場でした。

移動が少し大変でしたが、
ライナーの車は
建物の屋上にありました。

どうなることかと思いましたが
見事に荷物は車に収まりました。
そして、ここからの景色は
少し新鮮だった。
ヴェネツィアは、その大半が
古い建物で、高くてもせいぜい、
4階があるかないか。
街をこの高さから見る事は
あまりないからだ。

翌日、ライナーは
浅野と久富を乗せ
一足先にワイマールへ
向かう予定。
出発は、朝の5時半らしい。

すっかり、身軽になって
レセプション会場へ向かった。

会場は泊まっているホテルの目の前
四つ星ホテルのレストランだ。

レセプションはすでに始まっていた。
空いている席につく。
バイキング形式なので、
早速料理を取りに。


さすか、四つ星。
料理は美味しかったです。
特に魚の料理は絶品でした。

いろんな人から
コメントをいただきました。
サブリナが通訳してくれます。
話の内容から、この演奏旅行が
うまく行ったことが伺えました。

ただ、サブリナの通訳で
「なかなか〜」の使い方が
若干おかしかった様に
思いましたが、
話していただいた方々の思いは
充分に伝わりました。

終わりごろ、ドルチェとよばれる
デザートが出て来ましたか
これが、死にそうな程に
甘いこと甘いこと。

もったいないとは思いましたが
残してしまいました。

外に出て、テノールの若手と
何か喋ったような気もする。
先生たちが駅の方のカフェにいるとのことで
合流。

結局、結構な人数になっての
最後の夜のお茶になった。
お開きになって、ホテルに戻ってからも
しばらくロビーで話をしたり
写真を撮ったりと
部屋に戻る頃には日付が変わっていた。
つづく•••。