私が歌う理由(わけ)7

前回

ある日、同級生の家に遊びに行った。
 
彼もギター弾き始めた頃で、
ギターを持って遊びに行ったときのことだ。
 
最近通販でこれ買ってん、と
ステレオにスイッチを入れ、
プレーヤーの針を静かに下ろした。
 
ジャーン
It's been a hard day's night.....
 
ビートルズの「ハードデイズナイト」だった。
 
聞き慣れているはずだった、
でも、最初の和音そしてそれに続く
音楽にすっかりしびれてしまった。
 
当時の人気番組で挿入曲に使われていて、
僕もそれをよく見ていたので
いつも聞いて聞き慣れているはずだった。
 
でも、しびれた。
今でも鮮明に覚えている。
心のある部分をガーンと揺さぶられてしまったのだ。
 
結局ギターを弾くのも忘れて
その友達とそのLP一枚を聴いてしまった。
 
ビートルズのメロディは色んなところに
使われていて、耳にはしていたけれど
こうやって、
その曲のみに向かい合ったのは
その時が初めてだった。
 
LPは全部で10枚。
その日に全部聴くことは無理だった。
迷うことなく、全部のダビングを頼んだのは
いうまでもない。
 
# わがままを聴いてくれた友人、東野くんに感謝#
 
その日から、夢中になってメロディライン
をコピーする日々が始まったのだった。

つづく・・・。

昨日、一昨日
オーディションの審査員だった。

受けた人全員が、
確実に前年より技量が上がっていて
室内合唱団の線引きが非常に悩ましかった。

その中で、考えてしまうことも
いくつかあった。

オーディションとしてオーディションを受ける人。
オーディションだけれど、聴衆を沸かせる人。
オーディションを演奏会にしてしまう人。
オーディションを入試などのテスト感覚で受ける人。

様々だ。

自分が審査するとき
重要視するのは、
「調性感」「ピアノとのハモり」「言葉の明瞭性」
「歌詞から情景が浮かぶかどうか」
などだ。

なので、こちらの顔色を窺うように歌われると
スッと醒めてしまう。
入試のような感覚もしかり。

基本として、精一杯さがないと
端から評価できない。

自分をよく見せることは
悪いことでは無いが
方向性を間違えると
逆効果になってしまう。

決して難しい話ではなく
その時の精一杯が出せれば
良いと思うのだが。

とにもかくにも、昨年末から続いていた
一連の流れは、一段落。
少し肩の荷が下りた。