TCMC創立記念第1回定期演奏会 感想

座った席は、真ん中通路から2席目。
全体の中央からやや後ろ。

彼ら歌うのを聴くのは
昨年の夏以来。

当日は午後1時くらいに
会場に着いていたが、
本番を楽しみに、昼食を取るため
いったん会場を後に。

開場後、中に入ると席はほぼ満席。
鈴木憲夫先生、千原英喜先生、上田真樹先生の姿があった。

出だしのモテット。

やや緊張気味か、ぎこちなさが見える。
音楽の運びで躍動感に欠ける部分があるも
要所要所で、和音が鳴っている。

8声のアヴェマリアでは
やや厳しい側面が出た。
特にテノールを聞いてしまうのだが
心臓に悪い場面もちらほら。

良くも悪くも今の精一杯が出た演奏になった。

シュッツのモテットは少し流れが出てきたように感じた。
だんだん先の見える演奏に。
緊張がほぐれてきたか?
改めて難しい曲であることを実感する。

その後武満徹の「うた」より
翼と小さな空。

良い音が鳴る瞬間もあるが
和声がなかなか決まりにくい。
内声の働きが肝心になってくる。

小さな空は口笛がよかった。
やっぱり口笛は女声のほうが良いかもしれないと
思いながら聞いていた。

和音に関してはテノールの頑張りが
もっと必要。
難しいけど、当てて軋ませるところは
思い切ったほうが良いのだ。
今後の課題だろうか?

休憩を挟んで
千原 英喜の天地始之事。

去年の夏、練習を見させてもらった曲。
そこからするとずいぶん良くなっている。
1曲目のかけ声の入る部分なんか
テンポも安定して、うまくいっていた。

ハモりは、う〜〜んとなるところもあるが
先生の指揮に徐々に食らいついてくる。
ここ!という時の反応は
最初の演奏会とは思えないところも。

少し長めの休憩の後
上田 真樹の鎮魂の賦。

聴くのは3回目くらいか。
緊張はだいぶ解けてきたのか
先生の棒に反応して、会場が鳴る瞬間も。

特に後半に向けて、
奏者の温度がどんどん上がっていくのが
印象に残った。

アンコールは、男声1曲、女声1曲、混声2曲。

ハモりは決して良くないが
最後まで疲れを感じさせない演奏だった。

全体を通して、良くも悪くも
TCMCの今がすべてさらけ出された
演奏会になったと思う。

良いところは、歌い手の思いだ。
それは十分に伝わった。

改善すべき点は
各個人の声、ピッチとハーモニー感、リズム感だろうか。

先生との瞬間瞬間のやりとりを実現するには、
個々の技量を上げるほかはない。

その音を、そのピッチで、その和声感で歌うのだ。
大半のアマチュア合唱団では出来ていない。
たまに奇跡的にそう言う音が鳴る瞬間はあるが
本当に低い確率で、まぐれと言ってもいい。

まぐれじゃなくて、技量を上げて
高い確率で実現するのだ。

その意味では、歌い手の思いは
100パーセントは伝わらなかったと思われる。
技量のマイナス分だけ。

でも、それを変に隠したりせず
良い所、悪い所をさらけ出せた点においては、
第1回の定期演奏会の意味があったと
個人的には思った。

次の教会コンサートは楽しみだし、
数年後、同じ曲をプログラムで取り上げたとき
どれだけ表現の幅が広がっているか
今から楽しみだ。