モンテヴェルディ合唱団演奏会に寄せて

良い意味で、衝撃を受けた。

変化する可能性と、
それを目の当たりにしたという意味で。

この合唱団の演奏は
昨年の秋以来だけれど、
良い意味で全く別の合唱団のような印象を受けた。

合唱とは何かと考えながら、
実は聴いていた。

有無を言わさない技術で聴かせる演奏会もあるだろうが、
今日感じたのはそんな次元の事ではない。

人が集まって、声を合わせて歌う良さが、
出ていたと思った。

最初のマドリガーレは軽妙で、
流れもハモりも素晴らしかった。
何より歌詞がよく届いてくる。
学生が聞いていたら、
きっと自分たちもやってみたいと
思ったに違いない。

以降、歌詞の明瞭さは
ずっと保たれていた。

パレストリーナは緊張感が漂うものの、
どっしりとした安定した演奏。

木下牧子の小品は、ハモりが素晴らしかった。
歌詞もよく聞こえてくるので、
描かれる情景と、その音楽の良さが、
本当に出ていたと思う。

休憩を挟んで高田三郎

作曲されたのはずいぶん古いはずが、
全く古さを感じなかった。

気になったことといえば、
一番若いはずの団員が、
一番古そうな楽譜(カワイの緑のやつ)を
使っていたことか。

最後のステージ
季節へのまなざし。
個人的なことを言えば、この曲、
未だに大合唱のイメージが拭えていなかった。

しかし今日の演奏は、
曲の骨格とその構造がはっきりと見え、
この曲が本来持っていた魅力が、
よく分かるものだった。

ここに来てようやく、大合唱という呪縛から
解き放たれたように感じた。

今日の合唱団は、当間先生の指揮に、
これ以上ないほどに、反応し、
音楽をしていた。
合唱団が、
あたかも一つの生き物であるかのように。

細かく見れば、個々の声の不備なところや、
ピッチが乱れたところなどは、
所々に見られたが、
それ以上に、合唱団はハモり、
指揮者と一緒に音楽していたのだ。

合唱とは何だ?
良い演奏とは何だ?
という問いが今も頭の中で、
グルグルしている。