私が歌う理由(わけ)4

前回

歌うことが好きだった僕は
親戚の前などでは、時々歌っていたようだ。
 
香川にいた頃、
僕は少年野球団に所属していた。
 
試合が年に何回かあって、
シーズンオフに入る前に、
打ち上げで食事会をするのが恒例だった。
 
そんなある年のこと。
いつものように、地元の農協のお座敷を借りて
打ち上げが始まった。
 
宴もたけなわの頃、少年野球団の少年たちに
なんか芸でもせい!と監督、コーチから
リクエストがあった。
 
そうこうしているうちに
僕の順番が回ってきた。
 
僕に出来る芸は「歌うこと」だ。
 
すぅーっと深呼吸。
ちゃ〜〜〜〜ちゃらら、ららららぁん
ぱぱぱぱぱぁん、ぱぁぱぁ〜
ちゃ〜〜〜〜ちゃらら、ららららぁん
ぱぱぱぱぱぁん、んぱぁぱぁぱぁ

 
  #頭の中で前奏#
  #なので、この間沈黙#
  #そして#
 

きみにぃ〜も、みえぇ〜るぅ
うるとらのほしぃ〜
とぉおくぅ、はなぁれてぇ
ちきゅうに、ひぃとぉりぃ〜・・・
  
  (中略)
 
かえぇってきたぞぉ

かえぇってきたぞぉ、

うぅ〜るぅとぉらぁまぁぁん!

(もちろん原調)
 
頭の中で後奏が鳴る中、周りは
うわぁ〜という拍手。
 
ドキドキしたけれど、同時にすごい快感。
自分でもビックリするくらい
大きな、通る声だった。
 
人前で一人で歌った
初めての瞬間だった。
そして、その怖さと、快感を知ったのも
この時だった。
 
そう、僕の初のソロは
帰ってきたウルトラマン

・・・つづく