演奏旅行日記13 いよいよマントヴァへ

ホームへ行くと
乗る列車はすでに来ていた。
ホーム隅の黄色い刻印機に
切符を通した。
これしとかないと罰金らしい。

座席指定ではないので
1等か2等のどの席に座っても良い。

一応1等を買ったので
1等車両に乗り込み
席を確保。

しかし、それにしても
車両の外観、落書きだらけだ。

1等の車内も、お世辞にも
きれいとは言えない。

窓も汚れているので
せっかくの車窓からの景色も
残念なことに。

トイレはなんと便座が無かった。

車両数の多いのにも驚いた。
さすがに、端まで見に行く元気は無かったが。

いろいろ驚いているうちに
時刻通り、列車はミラノ中央駅を出発した。

凄く速いでもなく
かといってノロノロでもない
イタリア鈍行初体験だ。
ミラノ市街を抜けるまで
至る所にスプレーで描いたと思われる
落書きが目に付いた。
ちょっと残念な気がした。
そういえば、バスで市内を通ったときも
目立っていたなぁ。

ここからマントヴァまでの記憶が
抜けている。
いろいろ話していたのか、
よく覚えていない。
少し緊張が解けたんだろう。

列車は段々遅れて、結局マントヴァには
20分近く遅れて
14時40分頃に到着した。

みんなは今頃、マントヴァ市内を観光しているはず。

ホテルは駅の目の前だ。

フロントへ行くと、待ってましたとばかりに
お兄さんがチェックインに応じてくれた。

他のみんながどこにいるか
尋ねてみるも、はっきりしたことは
分からないとのこと(そりゃそうだ)
部屋に荷物を置き
15時頃に、フロント前に集まって
とりあえず街に出てみよう
ということになった。

翌日に演奏会を控え、
何とか無事に到着できたことに
かなりホッとした瞬間だった。

つづく・・・。

このマントヴァでのホテルは
10年以上前に
泊まったことのあるホテルだ。

記憶はかなりおぼろげたが
玄関入って正面の
小さな中庭には憶えがあった。

油圧式?と思われるエレベータを使って
最上階へ。といっても、3階。

屋根の傾斜がそのまま
部屋の天井の傾斜になっている部屋。

小さなシャワー室とトイレ、ビデがあり、
開閉式の天窓が付いていた。

緊張と疲れを外へ追いやる様に
部屋の窓を開ける。

窓からは
小さな中庭を見下ろすことができた。
と、同時に、
絶え間無い鳥のさえずりが聞こえてきた。

変な話、
携帯の着信やPCの効果音として聞いた事のある
そんな典型的な鳥のさえずりだ。

最初、どこかにスピーカーでも
仕込んでいるんじゃないかと
疑いたくなる程に、
どこかで聞いた事のある
鳥のさえずりだった。

その本物が絶えず聞こえてくる。

日本ではない
どこかに来た事を
ようやく、実感した。

鳥のさえずりに
後ろ髪をひかれながらも
部屋を後にして
フロントへ降りて行った。

つづく•••