映画放談 「ザ・ライト」

実話を元にした
エクソシストを描いた映画。

導入部から、
カット割りに感動していた。
勉強になるのだ。
別に映画を撮る予定は無いけれど
カット割りの妙とはこのことだと思った。

悪魔に取り憑かれた対象者の描き方も
背景の変化も
技術の発達で、
ものすごく自然(?)に。
特に最終場面での悪魔払いに成功し
対象者から悪魔が去って行く表現は
今の技術がなければ表現できなかったろう。

物語は、主人公である若きアメリカの神学生の
成長とエクソシストへとなっていく過程を軸として進む。
神学生であるにもかかわらず神の存在に疑問を抱く。
そして、悪魔払いそのものに疑問の目を向ける。

真実とは何か?
事実とは何か?
神とは、悪魔とは?

信仰とは?

僕は終盤で唸ってしまいました。
実に興味深い映画でした。

あとでパンフレットを見たら
監督さんも脚本家さんも
好きな人ばかりだった。

特に脚本家は「ちゅらさん」の
岡田惠和さん。

直後に原作を読むと
台詞回しは、ほとんどそのまま採用されているのに
驚いた。

その原作に、実に自然に台詞や
演出で合間を埋めていることにも
改めて驚く。

原作にない部分で気に入ったのは
おばあちゃんの時江の
回想シーン。
現在の時江を宮本信子さん
若い時の時江を黒川芽以さんが演じていた。
とても、よく似ていて、仕草なども
きっと演出も合わせてあるんだろうけど
違和感のなさに一人で感動していた。

他の登場人物のキャスティングも
大成功だったと思う。

それと
原作も映画も、子役の使い方が
絶妙だと思った。

主に阪急電車の車内での
出来事を描いているのだけれど
赤の他人との接点は、
何もなければ難しい。

恋する者同士は
自然と出会いの会話のきっかけが生まれるけれど
そうでない場面は、
そうはいかない。

そこで時江の孫、亜実が、
その役割を発揮する。

その流れが自然で、好ましく
久々に用もないのに今津線
乗ろうかという気分になった。

イギリス、フランス製のアニメーション。

年老いた手品師と、
その旅回りの途中で、
彼に付いてきた貧しい娘との
つかの間の交流を描いた作品。

絵が美しく、
そこに流れる雰囲気が懐かしい。

派手な演出があるわけでもない。
ただ淡々と日常が流れていく。

時に、エンターテイメントに関わる者の
悲哀を描いたところは
少し驚いた。
アニメとはいえ、ファンタジーではないのだ。

生きる、生活していくということを
必要とされることと
いずれ必要とされなくなるということ
そのコントラストが
くっきりと描かれた作品だった。

似た空気感は、「オネアミスの翼」で感じた。
好きなアニメ作品の一つになるだろう。