1ミリ足らず

ニッパ型の爪切りを買った。

左足親指の痛みが
どうしても消えなかったからだ。

爪が陥入爪で、普通の爪切りでは
どうしようもなかった。

しばらく放っておいて、
体がどんなふうに、この痛みを処理するのか、
痛いのを気にせず、普通に歩いたら、
体がどのように処理するのか
興味があった。

しかし、2週間ほど放っておいても、
痛みは消えず、
夜には絆創膏にうっすらと血が滲んでいた。

さすがに無理なのか、と思い、
ニッパ型の爪切りで
その部位の処理にあたった。

当然、多少の出血はあったが、
なんとか、食い込んでいる爪の部分を
取り除いた。

歩行時にあった痛みは、嘘のように消えた。

左足親指に食い込んでいた
爪の部位の大きさは1ミリ足らず。
その1ミリが、
患部に食い込み、出血し、
膿んでいたわけだ。

しかも、その見た目は、
取り出してみれば、
あの痛みをもたらしたものとは
とても思えない、程遠いものだった。

でも、それが痛みをもたらしたことは
間違いない。
不思議な感覚に囚われながらも、
それをゴミ箱に捨てた。

原因の本質なんて、
本当は、こんなものなのかもしれない。