本当に面白かった

小澤征爾さんと、音楽について話をする

もともと、小澤征爾さんのことは好きだった。
最近、村上春樹さんにはまっている。

この本を読み始めるのは、
時間の問題だったかもしれない。

本の中で語られる曲目に関して、
僕は、ほとんど知らない。
でも、ここで語られる音楽の話は、
非常に興味深く面白かった。

語られる音楽を聴いたことがなくても、
それが奏でる肌触りが伝わる、
そして、それを聴きたいと、
思わせてくれる体験は、
初めてだった。

ノンフィクションのインタビューのはずなのに、
後半は、まるで小説を読んでいるよう。

今まで、村上春樹さんの長編を読んできたけれど、
フィクションのはずなのに、
現実の手触りのようなものを、
感じながら読んでいた。

その現実感が、実際の現実と混ざり合って、
小澤征爾さんが村上ワールドの
登場人物のように思えてくる。

そしてそこで語られる、
小澤征爾さんと縁のある
著名な音楽家さえ、
村上ワールドの登場人物に思えてくる。

フィクションとノンフィクションの領域が
溶け合い、読後に不思議な感覚に襲われた。

でも、よく考えたら、
小澤征爾さんや村上春樹さんを始めとして、
会話の中に登場する、音楽家たちに
実際に会える可能性は限りなく低いわけで、
その意味では、村上ワールドの登場人物と
差が無いのかもしれないなとも思った。

と、いろいろ思いが広がるほどに
面白かったなぁ。
今度は、曲を用意して読もう。