映画放談「Les Misérables」 切ない・・・・

たくさん、見に行く方だけれど、
映画館で泣くことは、
殆どない。

でも、この映画ではやられてしまった。
ヒュージャックマンさんの演じるシーン
最初と最後で、もう堪えきれなくなった。

涙腺が決壊したのは、
切なさゆえだ。
ヒュージャックマンさんの演技、歌ともに素晴らしかった。
彼のことは、XーMENのウルヴァリン役で知っている人が
多いでしょう。

僕は今日の、この映画を見て、
アメコミの登場人物に過ぎない、ウルヴァリン
何とも言えない、人間臭さを感じたのは
彼の凄さ故だったことを完全に理解した。

レ・ミゼラブルは子供の頃から
「ああ、無情」として、
原作も読んだし、アニメでも観たし知っていた。

その頃、僕を支配した感情は「怒り」だった。
主人公のジャンバルジャンは、
一度たりとも私欲で動いていない。
パンを盗んだのもそもそも、飢える子供のため。
それで罪に問われたことにも、
その後ジャンを追い回す警部にも、
幼かった僕はブチ切れていた。

もう、それこそ、物語の世界に飛び込んで、
ジャンの味方になって、
何とかしてやりたい!くらいの勢いだった。

月日は流れ、僕はすっかりおっさんになった。
見知った物語、気持ちは
やはり主人公へと向けられる。
でも、「怒り」ではなく、「切なさ」で一杯になった。
あれから少しは勉強して、
その時代背景、民衆の暮らしを知るようになった。

あの時代ではどうしようもない、
彼の辿る道はあれしかない、
間違っていないのに抗えない。

かつて怒りの矛先だった警部にも、
切なさを感じる。
世界は正義と悪では分けられない。
人は自分が思っているほど
自由ではない。
生きている世界に縛られている。
それでも、
絶望もあるが救いもある。

そんなものが、この物語に
たくさん散りばめられていることに、
この歳になって、ようやく気がついたんだろう。

パンフレットを見ると、僕が子供の頃読んだのは
ダイジェスト版の邦訳かもしれない。
もう一度原作にあたってみるか。

映画制作に携わった人達に心から拍手。
演じて歌える素晴らしい俳優の方達と
同時代に生きていられることにも
感謝です。