名古屋ビクトリア合唱団 第9回定期演奏会

最初はビクトリアのモテットから4曲。
名前を冠しているのは伊達ではない演奏。

乱れそうになる刹那に持ち直す。
響きとしては安定してきた印象。

個人的には3曲目のNigra sumを興味深く聴いた。
モンテヴェルディのヴェスプロで
同じ歌詞の曲を何度か歌ったとがあり、
曲想の違いが面白かった。

ここで一旦退場、オルガンとリュートが入る。
モンテヴェルディの6声のマニフィカト。
と、ここで妙な緊張感に囚われてしまった。
別に自分が歌うわけでもないのに。
オルガンとリュートの響きで
その世界に誘われるのだけれど、
2曲目で、その世界は破られた。

僕はいささか、この曲を知りすぎてしまったように思う。
何度も演奏の機会に恵まれたおかげで、
観客にも関わらず身体が反応してしまうのだ。

更に個人的なことを書けば、
ここ1週間ほど、風邪を患い、治りかけの状態だ。
(なので打ち上げには参加せず、帰りの新幹線で書いている)
歌わなくてもイイが、歌えない身体だ。
でも、曲に身体が反応し、
歌わなくてもイイのに、歌えない自分の状態に勝手に落ち込む・・・
と何とも忙しい状態での鑑賞になってしまった。

長く書くまでもなく(書いちゃったが)
一言でいえば冷静に聞けなかったのだ。

それでも敢えて書くと、
ソロの人は、良かったと思います。
逃げなかった。これだけでも、上出来です。
お客さんはこの曲の良さを堪能出来たと思います。

ただ、唯一、パートとしてのテノールはもっと頑張ろう。
僕らは目立つんだよ。好むと好まざるとにかかわらず。
具体的にはピッチが届かなかった箇所が多かったのは残念。

ここで休憩。
肩はガチガチ、すっかり疲れ切っていた。
歌ってないのに。

次は、瑞慶覧尚子さんの
沖縄のうたによる混声合唱組曲「うっさ くわったい」。
沖縄風の衣装が良かった。
そして、三線の二人も良かった。
PAなしであれだけ聴こえるのにも驚いた。

演奏はとても良かったです。
お客さんも喜んでいたと思います。
5曲目の「月ぬ美しゃ」は
宮沢賢治の曲を聞いている錯覚に襲われた。

以下は気になった点。
ホタルの光が赤いのはどうだろう?
沖縄のホタルは赤い?
徳利とおちょこ、四角いまま?
切り抜く時間がなかった?動きは良かった。
間違っても、間違ったリアクションをしない。
素知らぬふりをするのも必要。

知らない曲なおかげで、楽しめた。
自分の因果な性格が恨めしい。

ここで再度休憩。

上田真樹さんの
混声合唱のための組曲 夢の意味。
シュッツでは、調べると2010年の邦人シリーズでやっている。
(もちろん調べるまでいつやったかなんて覚えてない)

上手くまとまっていた。
ハモリも良かった。
他所ではできない演奏だった。
以下気になった点。
ただ、前のステージの影響か、
声の疲れか、
決める部分で、決まり切らない印象があった。
ピッチがほんの少し届かないとか、
クレッシェンドが行ききらないとか。
ただ、そうだから悪いということはない。
強いて言うなら惜しいか。

アンコールのビクトリア8声のアヴェ・マリア
オルガンとリュート付きだった。
いつものより全音低かったんだろうか?

アカペラと違って、これはこれで新鮮だった。
オルガンとリュートのアシストは
今回の演奏会に花を添えたと思う。

団としても次の段階に入ったんだろうな、という印象を受けた。

下半期に向けてどうなっていくんだろうか?