映画放談「風立ちぬ」

満席の映画館は、珍しい。
しかも大阪ステーションシティシネマでは
一番大きな会場。

飛行機を
パイロットから描くと「紅の豚
設計者から描くと「風立ちぬ
だろうか。

作品中にパイロットは描かれるが、
その詳細な描写は、ほぼ無い。
その代わり、設計者の描写は、
今までになく細かい。
エンジニアの端くれとしては、
その描き様はツボにはまった。
欧米列強との技術差に苛立ちを覚える技術者の心情は
共感を覚えた。
新しい技術(今では普通)で作られた部品が
届いた時に、次の可能性に思いを馳せるシーンなんか、
さもありなん。

ドラフターがずらっと並んだ部屋で、
大きな紙に図面を描くさまは、
今の学生では想像もつかないんやろうなぁ。
あの手間と、時間がかかる感覚は、
実習で空調もない部屋で、
みんなと汗だくになりながら、
図面作成に取り組んだ夏の記憶につながる。
紙なのであくまで2次元だ。

今なら3次元CADで、ヘタすれば
1台のマシンで、作図から、
構造解析まで一人で、出来てしまう。
部品作成もラピッドプロトタイピングの技術で、
驚くほど簡単に製作可能だ。

作業効率は驚くほど上がったんだろうが、
失ったものはなんだろう?
と映画を見ながら考えた。

何処に力点を置くかで、
評価は分かれるだろうなぁ。
主役の庵野秀明さん(エヴァンゲリオンの監督)の声、
僕は好印象。

一部で酷評もあるようですが、
僕の中では高評価。
紅の豚をまた見たくなりました。